ECサイトのレビュー機能にマーケティング効果はあるか?

ECサイトのマーケティングにおいて、レビューの重要性は年々高まっています。ただ、提供する側と受け取る側には往々にして温度差があります。

今回は、そんな温度差の有無を確認すべく、517名の方を対象にECサイトのレビューに関する意識調査を行ってみました。

アンケートの対象者

特に条件を設けず、517名の方に回答いただきました。

性別は過半数が女性、年代は30代が最も多く、次いで40代、20代、50代と続きます。

また、利用頻度の高いECサイトのジャンルは、日用品、ファッション、化粧品・美容品がトップ3というユーザー層です。

ECサイトで買い物をする際に特に重視する項目

65.8%の方がレビューを重視。

選択式の設問でしたが、価格が88.6%と圧倒的に高い一方、レビューは65.8%に留まりました。

とはいえ十分に高く、また価格は簡単には下げられないことから、

レビューの収集・掲載がECサイトのマーケティングにとって欠かせないものであることがわかります。

ちなみに、「その他」の回答の中で多いものは、送料やポイントに関するものでした。

ECサイトで買い物をする際にレビューを確認するか

62.9%の方が必ずレビューを確認。

「必ず」という強い表現にも関わらず、62.9%の方がレビューを確認すると回答されました。

一方レビューを全く確認しないのはごく少数で、大多数の利用者が少なからずレビューを確認していることがわかります。

レビューは購入決定にどの程度の影響を与えるか

35.8%の方が、非常に大きな影響を受ける。

「必ず」と同様、「非常に」も強い表現です。

本設問で「非常に大きな影響を受ける」と回答した35.8%の大多数は、1つ前の設問で「必ずレビューを確認する」と回答していることが予想できます。

裏付け的な質問で、3割強が「非常に大きな影響を受ける」と回答している点は、注目に値します。

ECサイトにレビューを投稿したことがあるか

66%の方はほとんど、あるいは全くレビューを書かない。

レビューを確認する利用者が圧倒的多数を占める一方、自身がレビューを投稿するケースは極端に少ないことがわかります。

また、10回以上の投稿経験を持つ方が15.1%もおり、マーケティングのためにレビューを集めるのであれば、この層へのアプローチが効果的であると推測できます。

レビューを投稿する動機になりそうな項目は何か

56.9%の方は割引・特典があればレビューを投稿する。

商材に対する感動や共感よりも、割引・特典が重視されるという結果が出ました。

ちなみに一つ前の設問でレビューを10回以上投稿している方に理由を確認したところ、何らかのインセンティブを理由に挙げる方が圧倒的多数でした。

ほか、マーケティングには直接結びつきませんが、商材や対応へのネガティブな声が、ポジティブな声よりも集まりづらい点も注目に値するかと思います。商品・サービスの改善には、そちらの方が役立つためです。

レビューに対する理想的な特典は何か

76.4%の方がポイント還元・クーポンを希望。

レビューへの見返りとして希望するインセンティブは、ポイント還元・割引クーポンが多数を占めました。

また、商品にちなんだグッズよりも、関連商材の方が需要が高そうです。

総じて、実利を重視されていることが伺えます。

どのようなレビューを参考にするか

88.4%の方が使用感・品質の情報を求めている。

使用感や品質など、商品自体の情報をレビューから把握しようとしていることが浮き彫りになりました。

次いでコストパフォーマンス、対応、配送スピードという順ですが、いずれも10%以下で、使用感・品質の圧倒的な割合と比べるとそれぞれの差は小さいです。

レビューに対する信用度と必要性をどう思うか

94.8%が、レビューはあった方がいい。

レビューを信用している人は3割弱で、半信半疑ながらも参考にしている人は7割弱という結果でした。

また、レビューが「あってもなくてもいい」人はいても、「いらない」と判断している人は一人もおらず、レビューがどの利用者にとっても有用かつ無害な情報であることがわかります。

レビューに不正(偽のレビューなど)があると思うか

95.2%が不正なレビューがあると考えている。

バイラルマーケティングの効果の高さはさまざまな統計が裏付けています。しかし一方で、大多数の方が、レビューが完全に善意で、客観的なものであるとは考えていないようです。

これは、自身がレビューを投稿する動機に、「何らかの特典・割引」を挙げる方が過半数を占める事実ともつながります。

とはいえ、レビューを参考にする人が圧倒的多数を占めていることから、純粋に客観的な情報とは考えていないが、参考にはできると捉えていることが伺えます。

レビューの信頼度をどこで判断するか

65.6%がネガティブなレビューを信頼の根拠にしている。

顕著な差ではありませんが、ポジティブなレビューよりもネガティブなレビューを信頼の拠り所とする人が多いことがわかりました。

また、両方を参考にする割合は54.2%にのぼります。ECサイトに限らず、マーケティング戦略を考える際はどうしてもポジティブな側面を推したくなります。

ただ、ポジティブなレビューだけでなく、ネガティブなレビューも併せて掲載した方が利用者の信頼を得られそうです。

ほか、画像・動画の有無はさほど重要ではなく、レビューの内容や数の方が重視される傾向があります。

レビューと一緒にあったら嬉しい情報は何か

95.3%が商材自体の情報を求めている。

簡単な解説を欲しているのが最多で、55.3%。詳細な商品解説は40%という結果です。

大多数が商品自体の情報を求めていることがわかりました。

一方で、メイキングなど、商品のバックボーンに関する情報はあまり求められていないようです。

関連商材の情報も同様で、「レビュー+実際的な商品情報」の組み合わせが、最も利用者の需要にマッチしていると判断できます。

特に参考にするのはどのようなサイトか

46.4%が公式サイトのレビューを参考にしている。

楽天、アマゾンなどの大手ECサイトを押さえて、公式サイトのレビューを参考にするという声が最も多い結果となりました。

近年、SNSのレビュー獲得に注力するケースも目立ちますが、意外にもSNSを参考にするのは少数派のようです。

まずは、公式サイトのレビューを充実させることが重要であると判断できます。

レビュー以外で購入の決定に影響を与える要素は何か

42.6%が公式サイトのレビューを参考にしている。

友人や家族からの推薦よりも、公式の商品説明やSNS投稿の方が購買に影響を与えるようです。

一方、専門家のレビューは、意外にも影響は限定的でした。

こちらの結果からも、まずは公式サイトの情報に注力すべきことが伺えます。

まとめ

レビューは、価格に次いで購買を左右する重要な要素。

SNSよりも公式サイトのレビューの方が信頼度が高い

大多数の利用者は、半信半疑でレビューを捉えている。

一方で大多数が参考にしており、レビューはあったほうが良いと考えている。

SNSよりも、公式サイトのレビューの方が重要度が高い。

レビューを集める際は、ポイント等の金銭的な見返りが最も効果的。