エージェンティックコマースの先駆者!コマースフォース小野瀬社長にインタビュー

株式会社コマースフォースの代表取締役社長、小野瀬冬海氏に、同社のこれまでの歩みと、主力事業のAI UGCプラットフォーム「UGCフォース」やAIチャットボット「チャットフォース」の開発秘話からAI時代を見据えたこれからを伺いました。

小野瀬おのせ冬海ふゆみ

株式会社コマースフォース 代表取締役社長


1993年東京都生まれ、茨城県常陸大宮市出身。テモナ株式会社、株式会社サイバーエージェントを経て、2017年8月に株式会社コマースフォースを設立。

「コマースを成功に導く」をミッションに掲げ、AIチャットボット「チャットフォース(Chatforce)」、AI UGCプラットフォーム「UGCフォース(UGCforce)」などのAIコマースソフトウェア(AI SaaS)を開発・提供するエージェンティックコマース総合支援のAIネイティブ企業。累計支援実績500社超。女性活躍推進企業としてWOMAN’s VALUE AWARD 2022・2024優秀賞を受賞。

まず、小野瀬社長自身についてお聞かせください。どういった経緯で起業を考えられたのでしょうか。

様々な偶然が重なった結果、というのが正直な印象です。

私は元々、プロバスケットボール選手になることを夢見ていました。自分もいつかNBAでプレーする選手になりたい。その志で、小学3年から大学1年まで学生時代はバスケ一筋、高校も大学も推薦で進学しました。でも大学1年生の時に右足首に大きな怪我をしてしまって、バスケの道を諦めたんです。

そこからは、目標も夢もなくなり、燃え尽きてしまって、普通の大学生活を送りました。3年生になり、特に使命感もなく大企業を中心に就職先を選びました。

ただ、就職を控えたある日、祖母が事故で他界しました。突然の出来事で、大きなショックを受けました。そしてその時に思ったんです。たった一度きりの人生なのだから、人生を懸けて、何か大きなことを成し遂げたいと。

偶然、ほぼ同時期にソフトバンクの孫正義社長の演説を聞く機会に恵まれました。その演説で孫社長は、「これからどの道を選択するかで、人生の半分が決まる。なんとなくで就職先を決めるな。志を高く持て。」という話をされていたんです。

隣の学生が寝ていた横で(笑)、私は目を輝かせながら雷が走ったような、そんな衝撃を受けました。その言葉は、バスケの道を諦め、祖母の他界も重なり、絶望していた私へのメッセージのように思えました。

それがきっかけで起業されたのですか

きっかけは間違いなく、祖母の他界がきっかけです。ですが、そこですぐに起業するとはならなかったです。ただ「起業したい」と言うのは簡単です。この思いが果たして本当なのか、自分の起業の本気度を試そうと考え、まずは起業家の方々の自伝の本を読み漁り、そこで共通点を見出しました。ベンチャーでもの凄くハードに働き、伝説級の突き抜けた結果を会社員時代に出している人が多いこと。

そこでベンチャーに就職先を絞るため、すべての内定を辞退して自ら退路を経ち、当時社員数10人にも満たない上場前のテモナというITベンチャーに入社しました。

主に化粧品・健康食品などのEC事業者向けに、ECカートシステムやWEB接客ツールを提供しているSaaS企業で、私は営業担当として、日々多くのEC事業者の支援を行ってきました。

でも課題もありました。EC事業に参入はしてみたものの、ECカート導入後のマーケティングに失敗して撤退を余儀なくされる。そうしたお客様を助けられないことに、もどかしさが当時ありました。

当然、会社員という立場である以上、私の役割はECカートを広めていくこと。
ECカート導入後のマーケティング支援やコンサルなどを行うことは当時の社内状況や自分の会社から求められている役割や立場を考えると、現実的ではありませんでした。

であれば、「目の前のお客様に徹底的に向き合って、課題を解決するサービスやプロダクトをスピーディに開発・提供する、顧客を成功に導く会社」を自分で作るしかないと思った時、明確に「顧客を成功に導く会社を作ろう」と思いましたね。

その違和感が、最初の事業に繋がるわけですね

はい。当時はただ目の前のことで必死でしたが、結果的にEC支援SaaSのテモナでの経験が今のコマースフォースの「コマースを成功に導く」という理念や、AIチャットボットやAI UGCプラットフォームなどの事業内容に繋がったことは間違いありません。

そして何より、社員数10人程度の創業期から上場までの過程を中から経験できたことは私の人生において財産になりました。

その後、私はサイバーエージェントに入社しました。マーケティングのスキルを身に付けたかったからです。この経験やスキルが今の広告事業やBPO事業、コンサルティング事業などのAIコマースソリューション(AI SOL)事業に繋がっています。

また、コマースフォースの「自由と自己責任」や「即断・即決・即実行」などのバリューの多くもサイバーエージェント時代の経験からきています。

私はAbema TVの前身となるメディア統括の部署に配属され、そこで番組プロデューサーとしてタレントのキャスティングやタイアップ番組の企画・制作などを経験しました。

そして2017年に独立し、株式会社コマースフォースを原宿のマンションの一室からたった2人でスタートさせました。当時24歳の時です。

最初はキャスティング事業から始まりました。EC事業者に特化したキャスティング事業を立ち上げたところ、競合がほとんどいなかったため、多くのお客様に評価いただきました。

2021年にはレビュー、SNS、動画コマース、スタッフ投稿などの様々なUGC(ユーザー生成コンテンツ)を自社サイトに活用して売上を向上させるUGCツール「UGCクリエイティブ(UGC CREATIVE)」を提供開始し、これが大きく当たりました。

2024年ぐらいまでは「UGCクリエイティブ」を中心としたSaaS企業として導入社数も社員数も増え、順調に成長していきました。

2022年と2024年にWOMAN's VALUE AWARDを受賞されていますが、組織づくりにどのような方針をお持ちですか


WOMAN's VALUE AWARDでは女性活躍推進企業として評価いただきましたが、特別なことはしていません。組織づくりにおいて理念のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を徹底しているという点においては非常に力を入れている会社だと思います。

私が第一に考えているのは起業の原点でもある目の前のお客様を成功に導くこと。
コマースフォースのミッションは「コマースを成功に導く」です。

このミッションを実現するために社員が遵守すべき行動指針や価値観となるバリューを10個制定しています。

バリューの1つに「自由と自己責任」を掲げており、フルリモートワーク(完全在宅勤務)で、髪型や服装も自由です。その代わり即戦力で成果を求められる自由と責任がセットの組織です。

スキルや経験豊富な即戦力人材にとっては、結婚や出産後も働きやすい環境が整っているのが特徴ですので、そういった点を評価頂いたのかなと思います。

SaaS企業からAIネイティブ企業へと転換されたきっかけをお聞かせください

2024年ぐらいまではUGCツール「UGCクリエイティブ(現UGCフォース)」を中心に成長を続けていました。一方で、「まだEC事業において必要不可欠なインフラにはなれていない」という課題もありました。また、AI時代における自社のポジショニングにおいても、単なるSaaS企業では終われないという危機感もありました。

AIコマースの波が来る。そして今後益々、業界問わずプラットフォームから自社サイトのD2C(Direct to consumer)が重要になることを予感し、AI時代において「あったらいい」ではなく、「なくてはならない」「なくなったら困る」、そんな必要不可欠なAIネイティブなプロダクトを作ろうと思いました。
まさに、エージェンティックコマース時代におけるAIインフラになることをこの時、決めました。
そこでUGCツールからAI UGCプラットフォーム「UGCフォース(UGCforce)」へと進化させました。
更に、AIチャットボット「チャットフォース(Chatforce)」も2026年に開発するなど、エージェンティックコマース時代のインフラになるべく、進化を遂げています。

ここ1〜2年で、企業として大きく変化されたのですね

我々のようなスタートアップは、スピード感が命だと考えています。特にAIによって市場の価値観が大きく変化しようとしている現代では、即断・即決・即実行が求められる。

お客様のニーズに応えるために専門性を持った即戦力人材の採用を強化しつつ、現在の主力事業にもなっているAIチャットボット「チャットフォース(Chatforce)」の開発にも着手しました。本当にここ1、2年で、コマースフォースはAIネイティブカンパニーに生まれ変わったんです。

コマースフォースの一番の差別化ポイントはどこにあるとお考えですか

AIコマースを一気通貫で支援可能なバリューチェーンであることだと思います。

コマースフォースは、AIチャットボットプラットフォーム「チャットフォース(Chatforce)」、AI UGCプラットフォーム「UGCフォース(UGCforce)」のAIコマースソフトウェア(AI SaaS)事業から、コンサル・BPO・広告などのAIコマースソリューション(AI SOL)事業まで、AIネイティブのエージェンティックコマース総合支援企業であることが強みです。

特に主力製品でもある「チャットフォース」は、AIチャットボットやエージェンティックコマースの追い風もあり、現在多くのお客様から引き合いをいただいています。

「チャットフォース」は単なる自動応答のチャットボットではありません。CV獲得に特化したEFO決済チャットボット「ECチャットボット」、問い合わせ対応を自動化するAIカスタマーサポートチャットボット「CSチャットボット」、InstagramのDM上で接客を行う「ECインスタボット」、AI接客機能、AIエージェント機能など、チャットフォースにはこれらの機能すべてが搭載されており、問い合わせ対応からCV決済までをオールインワンで実現可能な全く新しいチャットボットです。

チャットボット内で決済まで完結する仕組みは、AIエージェント型コマース=エージェンティックコマース(Agentic Commerce)とも呼ばれ、国内では先駆者として「チャットフォース」が唯一実現していると自負しています。

AIコマースソフトウェア(AI SaaS)事業に加えて、BPO・広告・コンサルティングなどのAIコマースソリューション(AI SOL)事業も展開しており、プロダクト提供だけに留まらないAIコマース総合支援ができることも強みです。

累計500社超の支援実績がありますが、特に手応えを感じられている業種・業態などはありますか

AIチャットボット「チャットフォース」もAI UGCプラットフォーム「UGCフォース」も、化粧品・食品・アパレル・家具家電などの有形商材を扱うEC事業者様はもちろん、旅行・介護・不動産・金融・飲食・理美容・教育・人材などの無形商材を扱う企業様にも、業種や規模問わず、広義の意味のコマース(商取引)領域全般に導入いただいております。

まさにミッションの「コマースを成功に導く」だと思います。

コマースの普遍的な課題を解決するのが私たちのサービスです。特定の分野というより、本当に多種多様なお客様から引き合いをいただいているというのが実情です。

普遍的な課題というのは、どうやって見つけているのでしょう

「答えは会議室ではなく、現場にある」というのが私の信条です。これを体現するように努めています。

具体的には、年間で100社以上のお客様と全国出張をしながら会食なども交えて直接お会いしており、直接フィードバックをいただいています。

例えばAIチャットボット「チャットフォース」については、既存サービスの不満や課題を、開発前にお客様からかなりインプットいただきました。「チャットフォース」は、そうした課題を徹底的に潰すことを意識して、開発したものです。

それは現在も変わらず、お客様の声は可能な限り早くエンジニアにフィードバックし、調整を行っています。

AIの発展が目覚ましいですが、今後EC事業者はAIをどう活用していくべきだと思われますか

EC業界は今、AI時代に伴い、大きなパラダイムシフトが起きています。

人間が自分で検索・比較して購入する従来のEコマース(electronic commerce:EC)から、AIエージェントがユーザーの意図を汲み取り、自律的に商品の選定から決済までを代行する「エージェンティックコマース(Agentic Commerce:AC)」へと変化しつつあります。

すでに検索エンジン経由ではなく、チャットGPTなどのAI経由で比較・検討しているユーザーが増えています。

ECからエージェンティックコマースへの変化に対応するためには、企業側は、AIに評価されるためのAEO/AIO(AI Optimization、AI最適化)対策が急務です。

そういう意味では、コマースフォースはAI時代において追い風です。

「UGCフォース」のレビューをはじめとするUGCは、まさにAIに読み込まれる一次情報としての価値が増しており、AIO対策において非常に重要な鍵を担っています。

「チャットフォース」は、AIエージェントとして、問い合わせ対応、接客、決済までチャットボット内ですべてが完結するエージェンティックコマース時代のインフラとなるAIプロダクトです。

「UGCフォース」と「チャットフォース」が連携することで、AI時代におけるLLMOとエージェンティックコマースをさらに強固にするサイクルが生まれます。

更にAIプロダクトを提供するだけで留まらず、AI BPOやAIコンサルを通して、しっかりとクライアントがAI活用できるようになるまで伴走支援できるところが強みとなっています。

最後に、今後の展望・野望をお聞かせください


私たちは、エージェンティックコマース(Agentic Commerce:AC)のリーディングカンパニーになることを目指しています。

どこの会社よりも、いち早くAI時代を見据え、エージェンティックコマースに参入し、すでに多くの企業で実績を作っている会社であることを自負しています。
でもまだまだ国内のEC化、そしてAI化に遅れを取っています。課題も多くあります。
コマースフォースが国内のEC化率とAI化の向上を促進し、エージェンティックコマース時代のAIインフラになることで、より多くのコマースを成功に導いていきたいと思います。